エレファント

カート・コバーンの映画「ラストデイズ」が公開中の監督、ガス・ヴァン・サントの「エレファント」を観た。
団長や大地に薦められて観たんだけど、正直言うともう少しドラマティック(起承転結のある)なものを想像してて、そのあまりに突き放した観察する視線に圧倒されてしまった。
普通に学校内を歩く後ろ姿を延々と追っているだけの映像から、何故だか目が離せない。時系列が登場人物の場面によって戻ったり重なったりする手法が後半、アレックスとエリックが銃を持って学校に入るシーンを何パターンも見せる。上手いなぁーと感心してしまった。ラストシーンの引いていくカメラの画が絶望的でした。
何一つ解決せず、清々しいまでに投げっぱなしなこの映画の中で一番気になったのは、イーライが廊下でジョンの写真を撮ってる後ろで、何故ミシェルは走りだしたのか?
この映画の登場人物は一般公募で選ばれた実際に17歳の高校生。しかも演技も台詞も基本的にアドリブなんだそうです。多少の演技指導はあったとしても、ミシェルの走りだす演技が彼女のアドリブだったとしたら?何故走りだしたのか?ということがどうでもいいようで、すごく気になっています。

あまりにも衝撃的で、もう二度と観たくないのにどうでもいい細部が頭から離れなくて困るといった映画は確実に存在するものですが(個人的なそういう映画は浅野忠信の「Focus」だったり、「ダンサーインザダーク」だったりします)、この「エレファント」もそういう部類の映画でしょう。