トニオ・クレーゲル

ここ最近ずっと読んでいる「神聖喜劇」の中に、トーマス・マンの「トニオ・クレーゲル」に関する引用があって、そこがあまりにも良かったので実物を買ってしまった。引用された小説の原本を買うのは昔村上龍の「音楽の海岸」を読んでそこから中上健次の「枯木灘」買った時以来だな。

「トォマス・マンは、「芸術を身過ぎ世過ぎの稼業にしている人間」を「(真正の)芸術家」とは認めなかったのであり、(中略)
「(真正の)芸術家」は、「習俗的であること」が、(先天的・宿業的に)できないのであって、しかもまた「習俗的であることの悦楽にたいする内密にして激烈な憧憬」と「習俗的であること(の悦楽)にたいする(一抹の)軽蔑」との対照的両者を(先天的・宿業的に)ひとしく抱懐せざるを得ないのであった。」
神聖喜劇」第3巻より引用

トニオ・クレーゲル ヴェニスに死す (新潮文庫)

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