禁色

『ただ自分の内面をさらけ出すのがいやさにああしていただけだ。しかも玲子は僕を単純な明るい少年と誤解し、僕は僕で玲子の恋に気づかずにいた。誰しも他人に対する誤解を唯一の生甲斐に生きているのだ。・・・・』
三島由紀夫 「禁色」より

彼女は僕を単純な明るい男と誤解し、僕は僕で彼女の恋に気づかずにいた。
他人に対する誤解は時として愛と慮りに溢れ、時として底なしのエゴを見せつける。
なるほど。唯一の生甲斐とはよく言ったものだ。